プロセス評価の基本は、出来る限り、短いサイクルで評価をするjことであるが、当然、その前提として評価するための課題を課し、回答してもらうことが必要である。その評価を迅速に学生にフィードバックし、学習を促すためである。しかし、このような授業は大学ではほとんど見当たらない。提出された課題回答をフィードバックする教員は、ほとんど、いないといってよい。また、授業の最後ではなく、途中で評価を学生に伝える教員もおそらく皆無であろう。まして、少人数のゼミではなく、大規模講義でそれを実施するなど、キチガイざたといわれるに違いない。
私は学生にむけて、いつも「勉強しろ、勉強しろ」、と言うことが大事だと思っている。もちろん、授業の場だけでなく、ネットを通じたメッセージも使ってである。なぜなら、学生のもっている時間のなかで、私の授業のことを考える時間のシェアを高めることが、もっとも重要だと考えているからである。もちろん、言われなくても勉強するのが大学生のあるべき姿勢だという教員もいるだろう。しかし、それは非現実的である。学生の時間を奪うライバルが多すぎるからだ。バイト、部活、メール、チャット等などである。授業に来ているから勉強しているなんて思ってはいけない。机の上で他のことをする可能性は高い。授業時間でさえライバルは多いのである。授業時間に寝ているのはまだましで、すぐ携帯に目を向け他の「チャネル」に切り替える。そこにいても頭は別のことをするのに手間がかからない。今のITはそんな環境を用意してくれているのである。だから、10分から20分に一度はこちらに振り向かせる発言をくり返す。シューカツに必要な情報だ、なんていうと学生ののアンテナが急に光るし、試験に出るぞと言えば、また光る。
さて、どう実施するのか。授業の教材は、授業開始前にeラーニングサイトにアップしているので前もって読めといっておく。これが予習である。授業中は、動画配信する。リアル配信と録画配信をする。今年はUSTREAMを使ってみたが、もうひとつすっきりしなかった。操作とキャプチャリングのためのPCが一台だと、どうも、スマートにいかないからだ。
授業が終われば、クイズを用意しておき、それを回答する。復習のためである。出席をとらない代わりにこの回答をしない限り、何の得点も得られない。このクイズは選択肢方式にしているから、自動採点である。選択肢方式だと大学生らしくない、理解の程度が分からない、文章を書かせるべきだ、とする教員が少なくないが、では記述方式にして毎週、採点できるのだろうか。できないことを述べてやらないで済ませるのは実務者ではありえない。
半年(期)に3回程度は記述式の課題を出している。これは見て採点するから迅速にとはいかないが、毎日、夜中に採点し、すぐに点数は学生が見れるように、また、必ず、短くともコメントを入れている。読んだぞと、いうメッセージだ。
ここまで仕掛けを作っておいているからこそ、プロセス評価を活用した、「勉強しろ、勉強しろ」が言える。なぜなら、勉強していない学生だけを抽出して、「勉強しろ」と言えるからである。その基本は月次評価である。ここまでやれば、ほぼ完璧なプロセス評価ができる。それは次回に紹介したい。
2012年12月27日木曜日
2012年12月12日水曜日
プロセス評価、、大規模講義を、どのように実施するのか(6)
普通の大規模授業は、教員がしゃべって、出席も取らず、期末試験をして成績をつけて終わり、、である。人数が多ければ、それしかできないというのも本音である。出席を取るといえば、膨大な学生が教室に押し寄せ、おしゃべりばっかしで、授業にならない。出席を取らなくなるに違いない。
また、出席をとるというが、その労力は大変なものがある。もし出席票を配り、300枚程度を収集し、excelで作った出席簿に、マークを付けるとすると、一体、どのくらいの時間がかかるのだろうか。出席票は、番号順に並んでいないので、300人のワークシートをあっち行ったりこっち行ったりして学生番号を探してマークする。10秒/人として、6人/分、360人/時間、間違いも多く、目が血走ってしまうに違いない。だから、これを毎週、行うのは、ほとんど不可能である。
また、期末試験や課題で評価することが多いが、その一回かぎりで評価していいものだろうか。マークシートでは質的な評価ができないからと記述式、論文式の問題を課す場合も多い。たしかに書かせることは能力評価や、能力向上に必要であることは理解できる。
しかし、どんなに教員が質を重視しようとしても、それは実現困難である。300人ものレポートを、10分/人かけたら、6人/時間、で採点していたら、50時間かかる。あり得ない。実際には、せいぜい1分/人位しかかけられない。
さらに大きな問題は、この採点のための添削や評価点を学生にフィーバックする機会は、ほとんどない。成績表に、A、B、Cなどが記載されるだけである。解答用紙さえ返却されることはない。これで、まともな教育ができるとはだれも思わないであろう。
ではどうするのがよいのか。ワンツーワン授業の次の仕掛けはプロセス評価、教育学での用語でいえばフォーマティブ(形成的)評価の実施である。つまり、学生の理解度合を把握し、それに基づき、次を学習を促すことである。きめ細かな小テストなどの実施がそれにあたる。そんなことが果たして300人も履修する大講義で実施できるのか、その不可能と思えることを実行することが、今回の仕掛けであり、eラーニングを活用せざるを得ない機会でもある。
また、出席をとるというが、その労力は大変なものがある。もし出席票を配り、300枚程度を収集し、excelで作った出席簿に、マークを付けるとすると、一体、どのくらいの時間がかかるのだろうか。出席票は、番号順に並んでいないので、300人のワークシートをあっち行ったりこっち行ったりして学生番号を探してマークする。10秒/人として、6人/分、360人/時間、間違いも多く、目が血走ってしまうに違いない。だから、これを毎週、行うのは、ほとんど不可能である。
また、期末試験や課題で評価することが多いが、その一回かぎりで評価していいものだろうか。マークシートでは質的な評価ができないからと記述式、論文式の問題を課す場合も多い。たしかに書かせることは能力評価や、能力向上に必要であることは理解できる。
しかし、どんなに教員が質を重視しようとしても、それは実現困難である。300人ものレポートを、10分/人かけたら、6人/時間、で採点していたら、50時間かかる。あり得ない。実際には、せいぜい1分/人位しかかけられない。
さらに大きな問題は、この採点のための添削や評価点を学生にフィーバックする機会は、ほとんどない。成績表に、A、B、Cなどが記載されるだけである。解答用紙さえ返却されることはない。これで、まともな教育ができるとはだれも思わないであろう。
ではどうするのがよいのか。ワンツーワン授業の次の仕掛けはプロセス評価、教育学での用語でいえばフォーマティブ(形成的)評価の実施である。つまり、学生の理解度合を把握し、それに基づき、次を学習を促すことである。きめ細かな小テストなどの実施がそれにあたる。そんなことが果たして300人も履修する大講義で実施できるのか、その不可能と思えることを実行することが、今回の仕掛けであり、eラーニングを活用せざるを得ない機会でもある。
2012年12月3日月曜日
参加型授業、、 大規模講義を、どのように実施するのか(5)
もうひとつ、経営環境の変化として、為替の変動の影響を考えてもらう授業の例を紹介しよう。学生参加型授業の典型だ。
為替の変動、つまり円が高くなるとどういう影響が生じるか、わかっているようで、実感しにくい。海外に行ったらどうか、得するか?損するか?、企業で得する企業、困る企業、業界は? これらをすらすら言えるようになって欲しい。それがまさしく企業経営の一挙一投足に影響するのだから、である。さて、どうするか。
ここは米国、まず登場人物は、自動車の営業マンと顧客。学生に、前にでてもらい、芝居を演じてもらう。
昨日、1ドル100円の時、2万ドル(200万円)で自動車の商談が成立した。
翌日、円高で1ドルが80円になった。営業マンは販売価格が、2.5万ドルに値上げさざるを得なかった。顧客にそう伝えたらどうなるか。当然、断られる。
営業マンと顧客の価格交渉が始まる。
2.2万ドル(176万円)と、アクセサリーを追加して、何とか商談がまとまった。
これで、営業マンの利益はどうなるか。日本からの仕入れ価格が160万円とすれば、前は40万円の利益、それが、今回の商談では、16万円に激減、給料ももらえない。日本に向けて仕入れ価格の引き下げを要求する。
次の登場してもらう学生には、日本の工場長を演じてもらう。営業マンは工場長に仕入れ価格の引き下げを要求する。160万円を145万円に交渉。これで営業マンの利益は、31万に戻すことができた。工場長はさて、次にどうするか、当然、製造コストの削減にチャレンジしなければならない。
次の登場人物は、外注業者の社長さんである。それらしい学生に、またまた、出演依頼をする。今の時代、嫌がる学生はほとんどいない。
この業者からは、1個100円の部品を購入していた。これを90円に下げるよう要求し、92円で受け入れることになった。雇用が守れるならやむをえない。
しかし、ここにもう一人の業者がやってくる。海外からの輸入業者である。前は105円の価格だったため、国内業者が受注したが、1ドル80円になったため、84円を提示した。さて、工場長は、92円の国内業者と84円の輸入業者とどちらにするか。結論は輸入部品に決定した。利益を上げなければならないからだ。国内業者は、注文はなくなり、社員を解雇せざるを得なかった。
これらのやり取りは、学生が自分で提案し、交渉してドラマが進む。思わぬ値引きに、シナリオが壊れてしまうこともしばしばである。当然ながら、学生は気がつく、円高によって採用も減るし、シューカツにも大きな影響があると、理解するに違いない。
知識は、学生の別世界の話ではない。身近に、自分の将来に関わることなのだと、感じてくれれば、参加型授業の意義が十分、達成される。当然ながら、この登場人物の学生たちにはボーナスポイントを提供する。
為替の変動、つまり円が高くなるとどういう影響が生じるか、わかっているようで、実感しにくい。海外に行ったらどうか、得するか?損するか?、企業で得する企業、困る企業、業界は? これらをすらすら言えるようになって欲しい。それがまさしく企業経営の一挙一投足に影響するのだから、である。さて、どうするか。
ここは米国、まず登場人物は、自動車の営業マンと顧客。学生に、前にでてもらい、芝居を演じてもらう。
昨日、1ドル100円の時、2万ドル(200万円)で自動車の商談が成立した。
翌日、円高で1ドルが80円になった。営業マンは販売価格が、2.5万ドルに値上げさざるを得なかった。顧客にそう伝えたらどうなるか。当然、断られる。
営業マンと顧客の価格交渉が始まる。
2.2万ドル(176万円)と、アクセサリーを追加して、何とか商談がまとまった。
これで、営業マンの利益はどうなるか。日本からの仕入れ価格が160万円とすれば、前は40万円の利益、それが、今回の商談では、16万円に激減、給料ももらえない。日本に向けて仕入れ価格の引き下げを要求する。
次の登場してもらう学生には、日本の工場長を演じてもらう。営業マンは工場長に仕入れ価格の引き下げを要求する。160万円を145万円に交渉。これで営業マンの利益は、31万に戻すことができた。工場長はさて、次にどうするか、当然、製造コストの削減にチャレンジしなければならない。
次の登場人物は、外注業者の社長さんである。それらしい学生に、またまた、出演依頼をする。今の時代、嫌がる学生はほとんどいない。
この業者からは、1個100円の部品を購入していた。これを90円に下げるよう要求し、92円で受け入れることになった。雇用が守れるならやむをえない。
しかし、ここにもう一人の業者がやってくる。海外からの輸入業者である。前は105円の価格だったため、国内業者が受注したが、1ドル80円になったため、84円を提示した。さて、工場長は、92円の国内業者と84円の輸入業者とどちらにするか。結論は輸入部品に決定した。利益を上げなければならないからだ。国内業者は、注文はなくなり、社員を解雇せざるを得なかった。
これらのやり取りは、学生が自分で提案し、交渉してドラマが進む。思わぬ値引きに、シナリオが壊れてしまうこともしばしばである。当然ながら、学生は気がつく、円高によって採用も減るし、シューカツにも大きな影響があると、理解するに違いない。
知識は、学生の別世界の話ではない。身近に、自分の将来に関わることなのだと、感じてくれれば、参加型授業の意義が十分、達成される。当然ながら、この登場人物の学生たちにはボーナスポイントを提供する。
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