さて、はたして大学にとって、大規模教室での講義はほんとうに必要悪なのか。
従来の大学のビジネスモデルで考えれば、大規模講義で大半の収益をあげていることは間違いない。質が低下しようとも、それなしに大学経営は成立しないことは明らかである。したがって、必要悪と見られても不思議ではない。しかし、それを教員自身が、軽蔑するのは、いわば天に唾する行為であって、そのような授業を担当している教員に、感謝すれこそ、卑下することは間違いである。
しかし、重要なことはそこではない。これからの大学のビジネスモデルに関わっている。少子化のなかで確実に学生数は減少し、その減少分をどこで埋めるのか、あるいは収益を増やしていくのだろうか。もちろん、他大学と競い合って奪い取るという選択肢もあるだろう。しかし、本質的には新たな学びの需要を創出するしかない。具体的には、今の学生をfulltime studentとするならば、社会人などのpart-time studentを増加させるしかない。
その需要は、今の学生のように100万円/年も支出しはしない。もちろん、ビジネススクール、専門職大学院のように、200万円/年も考えられるが、その需要は決して多くなく、これからは過当競争が待っており、価格引き下げが起こり、費用対効果は決して高くなく、採算を割ってしまう可能性がある。
米国では、MITのオープンコースウェア、、スタンフォードのUdacity、Courseraのように、ネットを活用したコースのオープン化が進んでいる。ここに新たな需要があることは間違いない。重要なことは、ここでは、1人の教員がゼミのように10人程度でクラスをマネジメントしていたらとても採算に乗らないことだ。ネットを有効活用することで、1人の教員あるいは1チームが、数100人、1000人、1万人のクラスを運営することが求められるようになる。それができる教員を今から養成する必要があるのだ。大規模授業を運営するノウハウが、ここで生かされる。シナリオ、大道具、小道具を駆使して、大勢の学生の満足度を高めるという能力が、不可欠なのだ。
マンモス授業は必要悪か?、違う、これからのひとつの大学の有力なビジネスモデルなのである。そして、それができるスキルをいまから育成する必要があるのだ。
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米国のMassive Open Online Course (MOOC)は10万人単位を一人の先生が賄っていて、それがなかなかうまく機能しているところがあります。之が成功してMOOCという黒船が日本にやってくることになると、日本の大学は大きく変わることになるように思います。
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